受賞記念講演

以下の受賞記念講演が開催されます．

パイオニア賞受賞記念講演

「意思決定と制御システム - Game, Mechanism, Architecture in CPHS -」

日時

3月5日（木）16:00〜16:40（予定）

場所

3F メインホール

講師

和佐 泰明（早稲田大学）

概要

Society 5.0 や SDGs に代表される社会課題の解決に向け，人とサイバーフィジカルシステムとの相互作用を統合的に扱う Cyber-Physical Human Systems (CPHS) に関する学際的研究が近年活発に進められている．CPHS における制御系設計に関しては，マルチエージェントの意思決定と動的システムの振る舞いをいかに整合的に取り扱うかという点に，多くの未解決課題が残されている．本講演では，ゲーム理論，メカニズムデザイン，およびシステム構築の観点から展開してきた講演者の一連の研究成果について紹介する．

講師略歴

和佐 泰明（わさ やすあき）君

2016年東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻博士後期課程修了．2014年日本学術振興会特別研究員DC1．博士取得後，早稲田大学にて次席研究員，講師を経て，2024年より同大学理工学術院電気・情報生命工学科准教授，現在に至る．博士（工学）．Cyber-Physical Human Systemsに関する理論と応用に関する研究に従事．SICE論文賞（2015, 2023, 2025年），2020年度船井情報科学振興財団船井研究奨励賞，早稲田大学ティーチングアワード（2023, 2024年度）等受賞．SICE制御部門 自律型Cyber-Physical Human Systems調査研究会 (2026-2027) 主査．

ワークショップ

ワークショップに参加される方は，参加申込時にチェックを入れてください．MSCS 2026の参加登録者は無料でご参加いただけます．

「Physical AI に繋ぐシステム同定」

日時

3月3日（火）13:30〜16:30

場所

2F 特別会議室

主催・企画

SICE制御部門 事業委員会，ダイナミクスを活用した機械学習による制御理論の革新調査研究会

講師

藤本 悠介（大阪大学），武石 直也（東京大学），川口 貴弘（群馬大学）

概要

近年，AI分野では生成AIに代表される大規模言語モデルの発展が著しく，情報処理能力や判断精度の飛躍的な向上が実現されている．一方，これらの技術を現実世界へ展開するには，単に知能的な情報処理にとどまらず，物理空間と相互作用し，自律的に振る舞う「Physical AI」への発展が不可欠である．Physical AIとは，センサーを通じて得られる環境データを基に，学習・推論を行い，アクチュエーターを介して実環境へ働きかけることで，タスクを遂行する知能システムを指す．このような物理世界と密接に関わるAIシステムにおいては，対象システムのダイナミクスを正確に捉え，予測可能なモデルを構築することが，安全性・性能・信頼性を確保するうえで極めて重要となる．制御工学においても，システム同定を軸に，データ駆動型同定手法，物理法則と機械学習の融合（Physics-informed ML），非線形システム向けモデル構築技術など，物理システムのダイナミクスをデータから捉えるための研究が大きく進展している．これらの取り組みは，物理空間と相互作用しながら動作する Physical AI において不可欠となる「信頼できるモデル」の基盤を形成している．本ワークショップでは，システム同定やモデリングに関わる幅広い研究に取り組まれている三名の講師をお招きし，各先生方が日頃進められている取り組みや，データと物理システムをつなぐうえで感じておられる工夫や視点についてご紹介いただく．また，Physical AIという新しい潮流を見据えながら，これからのモデルづくりや制御・学習のあり方について，参加者とともにゆるやかに意見交換を行いたい．システム同定の可能性をあらためて見つめ直し，多様な分野の研究や応用へとつなげるきっかけとなることを期待している．

講師略歴

講演タイトル: カーネル正則化による物理的知見を利用したシステム同定

藤本 悠介（ふじもと ゆうすけ）君

2018年3月京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了．同年北九州市立大学国際環境工学部情報システム工学科講師，2022年同准教授を経て2025年より大阪大学大学院基礎工学研究科准教授となり現在に至る．2015年より3年間日本学術振興会特別研究員（DC1）．博士（情報学）．システム同定およびデータ駆動制御に関する研究に従事．2024年度計測自動制御学会論文賞，2012年度日本機械学会畠山賞，SICE Annual Conference 2015 Student Travel Grant Award, 2015年度計測自動制御学会関西支部支部長賞，2019年度電気学会優秀論文発表賞などを受賞．IEEE，計測自動制御学会，システム制御情報学会，電気学会の会員．

講演タイトル: 物理情報を活用した機械学習によるモデリング

武石 直也（たけいし なおや）君

2018年3月東京大学大学院工学系研究科博士課程修了，博士（工学）．同年4月理化学研究所革新知能統合研究センター特別研究員．2020年9月より西スイス応用科学大学ジュネーブ校経営学部博士研究員．2023年7月より東京大学大学院工学系研究科講師，現在に至る．機械学習と作用素論的力学系論に基づく力学系解析手法，物理情報を活用した機械学習手法，機械学習による科学的逆問題の手法などの研究に従事．

講演タイトル: ニューラルネットワークを用いた非線形システム同定

川口 貴弘（かわぐち たかひろ）君

2013年慶應義塾大学大学院理工学研究科前期博士課程修了．同年（株）東芝入社，2015年まで研究開発センターに勤務．2017年慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了．博士（工学）．同年より東京工業大学工学院研究員，2019年より同特任助教．2020年より群馬大学大学院理工学府の助教，2024年より同大学の准教授となり現在に至る．システム同定，状態推定，分散制御系設計の研究に従事．システム制御情報学会，計測自動制御学会，電気学会，IEEE CSSの会員．2019年度計測自動制御学会論文賞を受賞．

ISCS Plenary Lecture

「Bringing Control Theory into Insect Pest Control」

日時

3月4日（水）12:30〜13:20（予定）

場所

3F メインホール

講師

Emanuele Garone (Université Libre de Bruxelles)

概要

Innovation in agriculture is increasingly focusing on precision agriculture. The ultimate goal of precision agriculture is to use resources only when and where they are needed. Achieving this goal requires not only agronomic and technological advancements, but also the development of new quantitative methodologies for decision making. This need represents a potentially rich and stimulating research area for the control systems community. This talk begins with a brief overview of this general perspective, then focuses on a key aspect of a farm managements, i.e. Pest Control, presenting recent results on pest modelling, estimation, and control, and outlining key challenges and opportunities for future research.

講師略歴

Emanuele Garone

Prof. Emanuele Garone received his PhD in Systems Engineering in 2009. He joined the Department of Automatic Control and Systems (SAAS) at the École Polytechnique de Bruxelles, Université Libre de Bruxelles (ULB), in 2010, became Associate Professor in 2014, and has been Professor in the same department since 2022. He served as Program Director of the Brussels Institute for Advanced Studies for the 2024–2025 biennium on the theme “AI, Robotics, and Control as Enabler/Disabler of the UN Sustainable Development Goals”. He currently serves as Chair of the IEEE CSS Technical Committee on Agriculture and Food Systems. The main research interests of Prof. Garone are constrained and distributed control. Besides theoretical research, he also made contributions to control applications in very diverse areas including drones, naval robots, robotic swarms, electric grids, and fast battery charging. His activity also includes bringing control ideas in new research areas such as agriculture and entomology, ecology, logistics, and epidemiology.